浦河ひがし町診療所さま
2022/06/29
浦河ひがし町診療所 ×
言葉に「心」を乗せて伝えたい。
comuoonなら、それができる。
本当の意味での自然なコミュニケーションができるようになった、という浦河ひがし町診療所の川村院長さま。
comuoon導入により、患者さまやご自身がどのように変化したのかをご紹介します。
医療法人薪水浦河ひがし町診療所 院長
川村 敏明さま
長年にわたり、精神科医として活躍。浦川赤十字病院を経て、2014年に本診療所を開院。精神障害をかかえた当時者の地域活動拠点「べてるの家」と連携した活動は、全国から注目を集めている。
導入シーン | 診察室 |
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導入機器 | comuoon connect |
導入前
聴こえにくさから感じる壁
医師側も患者さんが聴こえにくいということに心理的障壁を感じてしまっていて、その気持ちを消すために、意識的にやさしい人にならなくてはいけなかった。
精神の障害も聴こえの問題も、周りが何も知らないということが一番の課題。
導入後
自然なコミュニケーションで生まれる
信頼と笑顔
自然なコミュニケーションができるようになったことで患者さんの表情も明るくなり、医師の表情も変わったと思う。
聴こえやすくする機器を置いてくれている先生、という信頼にもつながっていると感じている。
Q. comuoonとの出会いについて
お聞かせください。
川村:私が初めてcomuoonの存在を知ったのは、テレビ番組「夢の扉+」がきっかけでした。
その番組の中で、耳の不自由なおばあちゃんがcomuoonを通してお孫さんの声を初めて聴く、というシーンが描かれていて、「こんなにも人を感動させられる道具があるんだ」と、強い衝撃を受けたんです。
それ以降、comuoonとそれを開発した中石社長という人にぜひ会ってみたいという気持ちがずっと消えずにいました。すると、ある学会の交流会で、偶然にも中石社長とお会いすることができたんですね。その場でいろいろなお話をさせていただいたんですが、私は精神科・心療内科というコミュニケーションの分野を専門にしていることもあり、「聴こえにくいという状態が人間関係をつくりにくくしている、そのコミュニケーションの障害を取り除きたい」という中石社長の想いに強く共感したのを覚えています。精神科・心療内科に通う患者さんたちも、聴こえにくい方と同じ境遇だと感じたんです。
この偶然というか、必然の出会いをきっかけに、私が院長を務める浦河ひがし町診療所でもcomuoonを1台導入させていただいたという経緯になります。
Q. comuoonを導入して、
どのような変化がありましたか?
川村:ご高齢の患者さんたちが私の声を聴きやすくなったという変化はもちろんありました。
しかし、一番の変化は私自身に起こったと思っています。comuoonを導入する前は、聴こえにくい患者さんが来院される場合、「よし!」と自分の中のギアを一段上げて、よりいい人を演じていたような気がするんです。
私も、相手が聴こえにくいということで、心のどこかでそれを壁のように感じてしまっていて、その気持ちを消すために、意識的にやさしい人にならなくてはいけなかったんだと思います。
でも、それが全くなくなったんですよ。comuoonのおかげで本当の意味での自然なコミュニケーションができるようになったと感じています。私は精神科医ですので、私自身がどう伝えようとしているか、相手をどう受け止めようとしているか、という自分の気持ちの変化にも、comuoonを有効に使っていきたいという意識を持っています。患者さんと接するとき、comuoonはすごく大事な役割を果たしてくれる機器ですが、いい意味でこの機器に頼り切らないという気持ちも持っていたいんです。きっと、「使う」と「使いこなす」は大きく違うと思うんですよね。
comuoonも使い方次第で、その価値は何倍にもできる機器だと感じています。もちろん、「あ、聴こえる」という患者さまの明るくなった表情は純粋にうれしいですし、それによって私自身の表情もきっと変わっているんじゃないかと思います。患者さまは鋭いですから、きっとそういう変化にも気づいていらっしゃるのではないでしょうか。
聴こえやすくする機器を置いてくれている先生、という信頼にもつながっていると感じています。
Q. 聴こえを取り巻く現状について
どう感じていらっしゃいますか?
川村:精神の障害も聴こえの問題も、周りが何も知らないということが一番の課題だと感じています。
知らないが故に、勝手な想像や解釈をしてしまっているわけなんです。残念ながらまだまだ世の中は、聴こえにくい方に治りなさい、と要求しているような状態なんですね。
しかし、少し知識があるだけで世界は大きく変わると思うんです。comuoonのような機器があることを知っているだけでも、状況は全然違ってきますよね。少しでもいいんです。大切なのは知識を持っているかどうか。
例えばcomuoonのことを知っていれば、特別な努力もなく、コミュニケーションの隔たりや壁をやすやすと越えられますし、それまで狭い道を歩いていた人が広々とした道路に出たような感覚になれると思うんです。
ですので、こうした機器があるという事実をまずは知るということが、社会を変えるひとつのきっかけになるのではないでしょうか。そういう意味で、comuoonの存在を広めていくことも、私たち医療従事者の役目だと感じています。私はcomuoonに出会って、改めて人と人とのコミュニケーションの大切さを実感しました。だからこそ、comuoonで単に聴こえやすくするだけではなく、そこに「心を乗せる」ということも大切にしていきたいと考えています。
言葉というのは、気持ちがついていないと虚しいものなんです。私はcomuoonを通して、言葉と一緒に心や気持ちも伝えられる、そんな人でありたいと思っています。
この診療所に来る患者さんに「待ってたよ」と声をかけると、すごく嬉しそうに笑ってくれるんですね。そのときいつも、気持ちが通じあったと感じます。