九州大学大学院医学研究院さま
2022/06/29
九州大学大学院医学研究院 ×
歩道の点字ブロックのように、
comuoonがひとつのインフラに
なることを期待しています。
業界内でもいち早くcomuoonを取り入れ、日々の診療に活かしてこられた九州大学大学院医学研究院さま。聴こえにくさが軽度の患者さんへの配慮も可能になった事例をご紹介します。
九州大学大学院医学研究院
助教・医学博士
松本 希さま
九州大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科学教室 助教・医学博士。九州大学医学部を卒業後、ロサンゼルスの耳鼻科研究所や九州大学病院を経て現職。業界内でもcomuoonをいち早く取り入れ、日々多くの聴こえに従事している。
導入シーン | 診察室 |
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導入機器 | comuoon SE |
導入前
聴こえにくい方に対して
励ますことしかできない
聴力が正常より低いが難聴というほど悪くはない「狭間の患者さん」に対して、有効な手段がなく、ただ励ますことしかできなかった。
導入後
聴こえることでスムーズな会話が
できるようになった
患者さんとのスムーズな会話が可能になった。
医療器具以外でも、聴こえの問題を解決できる手段や選択肢が増えた。
聴こえる自然な環境を整備でき、聴こえの問題を解決できるようになった。
Q. comuoonをどのように使われていますか?
松本:当院では、comuoonを4台導入しております。
うち1台はワイヤレス環境での対話が可能なcomuoon connectで、ユニバーサル・サウンドデザインさまからデモ機としてお借りしています。
多いときで、1日に約140人もの難聴の患者さまが来院されるので、comuoonは日々の診療に欠かせません。comuoonを使う際は、私なりに工夫をしています。
通常、comuoonのショットガンマイクは卓上に置いて使用しますが、私の場合、マイクを逆さまにしてデスクの裏面に磁石で固定しています。
すると、マイクが目立たなくなり、空間の中に溶け込みます。comuoonはもともと存在感を感じさせないデザインですが、こうした工夫によってさらに患者さまにとって自然な環境を作ることが可能です。部屋の間取りや環境にもよるとは思いますが、ハウリングの防止といった効果もあるので、この方法は大変お勧めです。
Q. comuoonに対する患者さまの反応は?
松本:テレビ番組や雑誌、イベントなどでの紹介や様々な大手企業で導入されるなど、comuoonは着実に普及が進んでいます。ですので、初診の患者さまが既にcomuoonのことをご存知なケースも多々ございます。発売から2年近くが経過しましたし、注目度が高まっているのは診療を通して肌で感じています。
効果もさることながら印象的なデザインをしているので、難聴の患者さまはもちろん、そのご家族の方も「どこで購入できますか?」ととても興味を示されます。「聴こえを改善する製品=補聴器」という認識が一般的なので、comuoonは新鮮に感じられるのではないでしょうか。
また、comuoonさえあればスムーズに会話ができる患者さまも多いので、「病院の外でも使いたい」という声を頻繁にいただきます。ということは、聴こえる環境さえしっかりと整えてしまえば、聴こえの問題は解決できるケースも多いということです。
Q. comuoonを導入して変わったことは?
松本:一言で申しますと、以前よりも難聴の患者さまのお役に立てるようになったことです。
例えば以前、ある社会人の患者さまから「普通の会話なら問題なく相手の話が聴こえるけれど、会議になるとうまく聴こえなくて困っています」と相談を受けたことがございました。その方は、聴力が正常値よりは低いものの、難聴というほど耳が聴こえにくいわけではありませんでした。実は、こういう「狭間の患者さま」というのは一定数存在します。いままで、そういった方たちには特に有効な対策もなく、ただ励ますことしかできませんでした。
しかしいまは、「こういう製品もあります」とcomuoonを紹介できるようになりました。これはもちろん治療行為ではありませんが、医療器具以外でも解決する方法があるという選択肢が増えたことになります。
患者さまにとっても、ただ励まされるより役立つことだと感じています。
Q. これからcomuoonに期待することを
教えてください。
松本:どの耳鼻科にも専用の診療椅子がございますが、この椅子自体にcomuoonが内蔵されることを期待します。
一般的な診療室の作りは左右比対称の場合が多いので、comuoonの置き場所や「片耳だけが難聴」という患者さまのことを考慮すると、診療椅子に取り付けるほうが、より聴こえやすくなるのではと感じております。患者さまが椅子に座った瞬間に、comuoonの電源が入るような仕組みにするのも良いのではないでしょうか。
一方で、車椅子でいらっしゃる患者さまは目線の高さが低いので、そういったケースにも対応できる設備を整えていかなければなりません。さらに病院の外に視野を広げると、将来的には駅の券売機や自動販売機など、あらゆる場所にcomuoonが内蔵されてほしいと思います。極論を言えば、補聴器なしでも難聴の方々が街中を歩き回れるようになるくらいに。歩道の点字ブロックやAED(自動体外式除細動器)のような、ひとつのインフラになってほしいです。
そのためにも、まずは私たち耳鼻科の医師や専門家が率先してcomuoonを導入し、その重要性を啓蒙していくことが不可欠。
comuoonは、まだまだ大きな可能性を秘めているので、今後の広がりにも大いに期待しています。